世界が終焉となる時に

□時の流れって恐ろしい
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あったかい…………






いつも水の中にいるような感覚だった。
なのに……今は温かい布団の中にいるような感覚。
柔らかくて優しい匂いに包まれている気がして思わず頬が緩む。

そして………ゆっくりと意識は覚醒していった。

















△▼






「んっ………」

「!……銀ちゃん、新八ぃ!目ぇ覚ましたアル!」






目を開けると、目の前には見知らぬ少女がいた。
顔を覗き込むように前屈みになり、大きなスカイブルーの瞳がじっと私を見つめている。






「綺麗…………」






ぽつりと出た単語に少女は首を傾げた。
自分の赤い瞳とは比べものにならないぐらい綺麗な青。
大好きな海を連想させてくれる。






「……………ここ……どこですか…?」

「万事屋アル。起きられるアルか?」






少女に背中を支えられ身体を起こす。
身体の節々が怠く、まだ立ち上がれそうにない。






「私神楽っていうネ。今銀ちゃんと新八呼んだから待ってろヨ?」

「神楽………銀ちゃん…新八……?」






少女の名前は神楽というらしい。
他にも『銀ちゃん』と呼ばれる人と『新八』と呼ばれる人がいるらしい。
じっとその二人を待っていると、すっと襖が開いた。






「てんめ、神楽!でけぇ声出すんじゃねぇよ!近所迷惑だろーが!」

「いやあんたの声の方がうるさいです!」







ぎゃーぎゃーと賑やかに襖を開けたのは、銀髪の男と眼鏡を掛けた少年だった。
客観的だが、多分銀髪のほうが銀ちゃん。
眼鏡のほうが新八と呼ばれていた人だろう。






「おぉ。ようやく目が覚めたか。3日間ぐらい寝っぱなしだったからさすがにヤベーかと思ったぜ」






3日間………?
私はもっともっと長い間眠ってた気がするのに……それだけしか経っていないんだ。






「見たところ17、8ぐらいか?……お前、歳は?」

「13歳です…」

「「「はい?」」」






そんなに驚くことだろうか?
私を見つめる3人は目を点にしている。







「お、おい……最近の13歳ってこんな発育いいのか……?めちゃ美人じゃん?結構胸もあるじゃん?」

「さすがにそれはありえませんて!神楽ちゃんを見てくださいよ!」

「うをぉい!それどういう意味アルカ!」






何やらボソボソと会議を始めた3人。
そんなに13歳に見えないのだろうか?






「……あの……私…13には見えませんか…?」

「えっ……と…そーだね、見えないね…だって……その……」

「13にしては胸ボイン過ぎるアル。スタイル良すぎネ」

「神楽ちゃん!!」






胸………?
過去のことを思い出し眉間にシワを寄せる。
自分で言うのも悲しい話だが、私は胸がない。
よく友人の男の子に『ぺたんこ』と笑われたものだ。
なのに…………






「なん………で………?」






今自分の視界には、確かに膨らんだ胸がある。






「…………っ!?」






布団を勢いよくめくり、自分の姿を見る。
身長も体型も……確かに13歳の体つきではない。






「どうして………?」






分からない。
私は何歳なの……?
今までの記憶は?
どうしてこんなに成長してるの……?






少女は知らなかった。
少女が今、こうして目覚めるまで5年の月日が流れていることに。


 
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