世界が終焉となる時に
□人の手紙を勝手に読むと犯罪になるらしい
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同時刻―――
真選組屯所にて――――
「幕府から書状にて命令を受けた」
皆で行われる会議。
真選組の局長である近藤勲は声を張り上げる。
「なんでも、実験の為に動物を江戸に離したから…3ヶ月ほどしたら捕まえてほしいとのことだ」
近藤の言葉に真選組一番組組長、沖田総悟は疑問を述べる。
「へぇ…。それで近藤さん。どんな動物なんですかィ?」
沖田の質問に答えたのは近藤ではなく、その隣にいる副長、土方十四郎だった。
「まだ俺らも知らされてねぇ。邪魔されたら困るからギリギリになったら写真を見せる……だそうだ」
舌打ちを交えながらそう言う土方に沖田はやれやれと肩を竦めた。
「邪魔されたくない……ですか。嫌われてますねィ、俺達真選組は」
『まぁ仕方ないだろう』とこぼす近藤の器はどれだけ大きいのやら。
土方や沖田だけでなく、隊士全員が溜息をこぼした。
「話はこれだけだ。この仕事は3ヶ月後だから近くなったらまた伝える。それまではいつものように仕事を熟せ。以上だ」
土方の言葉で皆がバラバラとその場を解散した。
残ったのは近藤、土方、沖田、それと監察方の山崎だ。
「山崎ぃ。何か手掛かりはあったか?」
土方の言葉に山崎は首を横に振る。
「まったくといっていいほど掴めません。やはり幕府が絡んでいると…全てが内密に行われるようですね」
「それを調べるのが監察の役目だろィ?」
『そう言われてしまうとそうなのだが』と苦笑いをこぼす山崎。
山崎は極秘に今回の動物実験について調べていた。
だが今のところ手掛かりはゼロ。
珍しい事態だ。
そんな山崎を近藤は笑いながら肩を叩く。
「なぁに!ザキはよく働いてくれている。焦らず頑張ってくれ!だが無理はするな?幕府が絡んでいて、俺達に知られず実験をやりたいんだとしたら深い詮索は危険だからな」
「了解です」
『じゃあまた聞き込みに行ってきます』と山崎はその場をあとにする。
残された3人は顔を見合わすこともなくそれぞれの意見を述べていく。
「なんだか匂いやすねィ……」
「なんだ総悟。てめぇもか」
「うむ………何も起こらないといいのだが…」
そう呟きしばらくの沈黙が続いたあと、近藤は立ち上がり襖を開け、
「考えても仕方がない!こういう時はお妙さんの所へ行こう!」
「「……………」」
意気揚々と屯所を後にした。