世界が終焉となる時に
□ロリコンとフェミニストの違いを教えてくれ
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「あり?」
パトカーで巡察中の沖田総悟はスクーターに乗る坂田銀時を発見した。
珍しく後ろには女を乗せていて、真っ黒な長い髪が風になびいている。
「旦那じゃねぇですかィ?朝っぱらからデートですかィ?」
スクーターの横に車を付け走る。
すると銀時は『あら総一郎君』と驚いた顔をした。
「旦那ァ。俺ァ総悟でさァ。んなことより珍しいですねィ。旦那が女連れてるなんざァ」
後ろに乗る夢音に目をやるとスクーターに乗るのが怖いのか、目を閉じたまま銀時にしがみついていた。
総悟は顔を見る為にメガホンで呼び掛けてみる。
「銀髪頭の後ろに乗っているお姉さーん。目を開けないと事故に遭いますぜー」
「俺はお前のせいで事故に遭いそうだ!もう少し離れて走りやがれコノヤロー!」
総悟の言葉に自分の事を言っていると分かったのか、夢音は恐る恐る瞳を開けた。
「へぇ…こいつは上玉でさァ。つーわけで旦那ァ。誘拐容疑で逮捕しますぜィ」
「誰が誘拐犯だ!!!」
「違うんですかィ?俺ァてっきり旦那とスッポリシッポリとイった仲かと………」
「止めてくんない!?その卑猥なカタカナ止めてくんない!?」
スッポリ?と首を傾げる夢音に『なんでもないから!』と必死に叫ぶ銀時。
そんな銀時を放って総悟は後ろにいる女に話し掛ける。
「俺ァ沖田総悟って言うんでさァ。あんた名前は?」
「………綾嶋…夢音です…」
小さく口を開いた夢音に事情聴取のような口調で話す総悟。
「はい。夢音ちゃんねー。旦那に何されたのか言ってごらん?お兄さんが助けてやりまさァ。誘拐か?痴漢か?」
「ふざけんな殺すぞコラァ!!」
「殺人ですかィ?なるほど……家族を人質に取られたんですかィ……可哀相に……旦那ァ、誘拐及び殺人の容疑で………」
「そのボケいい加減止めろ!!」
ちぇーっと舌打ちをする総悟に銀時は拳を震わせる。
「あの……沖田さん……」
「総悟でいいでさァ」
そう言うと照れ臭そうに「じゃあ総悟くん」と口を開く。
「銀時さんの家に今居候させてもらってるの……だから…大丈夫だよ……?」
「…………旦那ァ…やっぱり誘拐……」
「ふ・ざ・け・ん・な」
夢音はあたふたとしながら「何か余計な事を言ってしまったかも」と目を泳がせる。
「まぁ事情はよく分かりやせんが嫌なことされたらすぐお兄さんに言うんだぜィ」
「は、はい………」
総悟はそれだけ伝えると爽やかな笑顔を夢音に向け去っていった。
依頼された息子の捜索をする前から銀時はがっくりと疲れた表情をしていた。