世界が終焉となる時に
□親しき仲にも礼儀あり!
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「不気味なほど綺麗な満月だ……そうは思わねぇか………?」
「高杉か………」
夜の街。
突然背後に気配を感じた桂小太郎が振り向くと、そこには昔の戦友、高杉晋助がいた。
「こんな満月の日はかぐや姫に登場願いたかったな」
「なぁに。俺はそのかぐや姫を探しに来たんでねぇ…」
クツクツと笑う高杉に桂は眉を寄せる。
「知らねぇのか?今歌舞伎町に……かぐや姫の如く美しい姫さんがいるらしい」
キセルを吹きながら夜の空を見つめる。
肌寒い風が吹き抜けると、キセルから出た煙も消えていく。
「なんでも鬼族っつー天人らしくてなァ……幕府のお偉いさんが実験だとかで外に出したとか」
「そんなことを俺に告げてどうするつもりだ」
桂の言葉に高杉は笑った。
ニヤリと……不気味なほどに。
「銀時と一緒にいるんだよ……そのかぐや姫さんが」
「なに……!?」
それだけ伝えると、高杉は再び桂に背を向け歩き出す。
「精々気をつけるように伝えてやれ……深く関わると死ぬぞってなァ」
高杉は完全に夜の街へ溶け込み、姿が見えなくなった。
桂は考え込みながら歌舞伎町へと足を進める。
もし高杉の言っていることが本当なら…大変なことになる……
そんなことを思いながら。