□冬になるとバラードが聴きたくなるのは何故なんだろう?
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何もない一日のある日。
銀時は机に伏せながら先日のことを思い出していた。









『好きでさァ………あんたの事が』









夢音を抱きしめるながら言った沖田くんの本気。
うらやましかった………そんなふうに素直な思いを口にできることが…。






「夢音ちゃーん?そこ目だよ、目」

「…………え…?」






冷たいお茶を口ではなく目に流している夢音。
こないだから様子がおかしいのは見ていれば分かる。
考えているのはきっと沖田くんの事だろう。






「す、すみません………」






あたふたとしながら零してしまったお茶を片付ける夢音。
いつもの椅子に腰掛けていた俺は立ち上がり、手伝う。






「何かあったか?」






分かっているのに聞いてしまう俺は汚い奴だと思う。
夢音が素直に相談してくるって……分かってるからだ。






「………先日…総悟くんと出掛けた時……一人の女として好きだと……告白されました……」






嬉しそうでもなく、悲しそうでもない。
表すなら困っている表情だった。






「もちろん私も………総悟くんのことは…好きです………でも…それが総悟くんと同じ好きかと聞かれると……分からないんです……」






優し過ぎるこいつは、きっと相手を傷付けたくないと考えているに違いない。
だから言葉が出てこないんだろう。






「沖田くんはなんて?……答えが欲しいって言ってたか?」






まるで小さな子供をあやすように…俺は夢音の頭を撫でる。






「今はまだ…いらないって……振り向かせる……努力をするからって……」

「ならいつも通りに接してやれ。それが優しさってもんだ。男ってのァ意外とデリケートだからな」






そう言うと夢音はふわりと笑った。
『相談してよかった』と。






「いちごミルク……入れますね……」

「あぁ。頼んだ」






俺は弱い。
沖田くんみたいに……思いを伝える勇気はない。
ただ傍にいて、今の関係が続けばそれでいいと思ってる。






壊れるぐらいなら俺が我慢すればいい。






そう思うことは……慣れているから。






「ホント……浅ましいな………」






夢音の横顔を見るたび……俺は何度もそう思うんだろう。






自分の気持ちを………偽って………

 
 

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