□どうしよもないこともある
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「もうすぐ……ですよ…」


「あぁ……この3ヶ月…験体1号は街に順応したのかねぇ」


「どうでしょう……見張りすら付けてませんから」


「まぁ飢え死にすることはないだろうが……あの容姿だ。吉原なんかに入っていなければいいな」


「それもまた一興だと思いますがね………さて、そろそろ真選組に動いてもらいますか」


「………そうだな。残り一ヶ月は真選組に監視してもらおう…」


「楽しみですねぇ………捕獲したらどうなさるつもりですか?」


「…アレを高く買いたいと言っているところがあってね。売るつもりはなかったんだが……まぁ値段を聞いてからだな」


「左様ですか……それでは私は…『幕府に成り済まして』真選組に書状を書いて参ります」


「あぁ……頼んだ」




























△▼







「ふ、副長ーーーっ!!!」






近藤が不在の真選組。
山崎は幕府から送られてきたという書状を握り締めていた。
高級な和紙に書かれたいつもの書状。
しかし……内容はえげつなかった。






「なんでィ山崎……朝からうっせぇなぁ」






広間にいた沖田と土方はドタバタと騒がしい山崎を睨む。
しかし山崎は動じなかった。
それ以上の事が起こっているからだ。






「大変なんですよ!今、松平のとっつぁんからこれが送られてきて!」






それを受け取った土方は和紙に書かれた文字に目を通す。






「頼んでいた動物を見つけ次第監視し、一ヶ月後に回収しろ…………あぁ、前に頼まれてたやつじゃねぇか」

「その文と一緒に付いてる写真!見てください!」






鬱陶しそうに書状をめくり、もう一枚添付されていた写真を見て、土方は言葉を失った。






「なんでィ……どんな動物ですか……ィ…………」






写真には、よくよく見知った人物が映し出されていた。
巫女服を着た赤い瞳の少女。
そう………夢音だったのだ。


 
 

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