折原家の愛しい妹
□学園生活
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「愛しの名無に杏里ー♪今日も屋上で食べよーぜ♪」
「はい」
「うん。食べよ」
昼食の場所はいつも屋上と決まっていた。
帝人、正臣、杏里、名無で作ってきた弁当や購買で買ったパンを食べる。
「あっれー?名無珍しいな。いつもお弁当なのに」
「今日寝坊しちゃってね、作る時間無かったの」
そう言いながら購買で購入したメロンパンを頬張る名無。
「いっただきー!」
「あっ!私のメロンパン!じゃぁ正臣の焼きそばパンいただきっ♪」
購買組の二人は違いのパンを取り合う。
帝人もコンビニで買ったおにぎりを園原杏里と仲良く食べていた。
「そーいやぁお三方、今日の放課後は暇かい?」
正臣はくるっと回りながら屋上から見える池袋の街を指差す。
「今日はナンパに行こう。天気も良いし、絶好のナンパ日和だとは思わないか諸君!」
両手を広げながらそう言う正臣に帝人は肩をすくめる。
「言うと思ったよ」
「なら尚更行こう!世の女性が俺を待ってるからなぁー!」
その自信はどこから溢れて来るんだろう。
帝人は大きくため息をついた。
「私は今日予定があるからやめておくね。三人で楽しんできて」
名無は丁寧に正臣の誘いを断る。
そんな言葉に正臣はずいっと詰め寄る。
「なんだぁ名無。臨也さんとデートか?」
むすっとそう言う正臣に名無はクスクス笑う。
「ううん。今日は静雄さんと約束があるの」
名無の言葉に三人は息を飲んだ。
静雄というのは……あの静雄のことなのかと。
「名無さん。………静雄って…平和島静雄さんのこと…?」
「…うん。そうだよ?買い物に付き合ってくれるんだ」
ニコッと笑う名無に帝人と正臣は苦笑いを零す。
平和島静雄というのは、池袋最強である男のことだ。
自動喧嘩人形と恐れられ、喧嘩を売った者、静雄を怒らせた者は宙を舞うことになる。
「なんつーか……すげーよ。名無は」
「??……そーかな?」
どこがすごいの?と言わんばかりの名無に杏里は笑った。
「まぁそう言う事なら仕方ないかぁ。ナンパは俺達三人で行こうなー!」
「えぇ!?ホントに行くの!?」
「とーぜんだ」
正臣と帝人が言い合う中、杏里と名無は仲良く食事を済ませる。
四人はいつものように休み時間を過ごし、午後の授業へ向かった。