折原家の愛しい妹

□愛々兄妹
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玄関の扉が開き「ただいまー」という声が家の中に響く。
池袋で見かけた可愛い妹が帰って来たのだ。





「お帰り名無。門限ギリギリだよ」

「ごめんなさーい。荷物が重くて…」





部屋に入って来た名無はソファに荷物を置く。





「どうしたの?その荷物」





あくまで自然に。
荷物が多い理由なんて知っているが、そう聞いた妹が花のような笑みを浮かべたことに機嫌を良くする臨也。





「あのね、私お兄ちゃんに渡したいものがあるの」





ガサガサと袋を漁る名無。





「あら。帰ってたの」

「あ、波江さん。ただいま!」

「お帰りなさい」





ジャジャーンと言いながら袋から取り出したものに臨也は笑い、波江は目を丸くする。





「お兄ちゃんに服を買ってきたの」

「へー。なかなかいいセンスしてるじゃない」





愛用の椅子に腰を掛けていた臨也は立ち上がり名無のいるソファに座る。

波江は仕事で使う書類を整理しながら二人の話に耳を傾けていた。





「ほら。お兄ちゃんって波江さんに『黒いカラスみたい』って言われてたでしょ?そのマイナスイメージを払拭しようと思って」





兄にセンスがいいと褒められ、嬉しそうに頬を緩める名無。





「ふーん?波江さん。あれって俺に対するマイナスイメージの言葉だったんだ?てっきり褒め言葉だと思ってたよ、『カラスのように頭のいい奴』ってさ」





ニヤニヤと笑いながら言う臨也に波江は溜息をつきながら睨みつける。





「伝わらなかったのね。ごめんなさい。『まるでゴミを漁ってるカラスのような奴』っていう意味が」

「ハハっ!否定はしないよ」





何を言っても聞き流してしまう臨也に嫌味を言ったところで無駄。
そう思った波江である。





「それで?わざわざ俺の為に選んでくれたわけだ?」





臨也の言葉に「うん」っと頷く名無。




「じゃぁ早速着てみようかな?この後出掛けるしねぇ」





名無から服を貰い、奥の部屋へ消えた臨也。
名無は臨也を見送ったあと、波江に話掛ける。



 
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