折原家の愛しい妹
□秘密恋愛
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「三つ巴燃えって………すごくいいと思わない?」
「え?」
唐突すぎる臨也の言葉に、チェスの碁盤で遊んでいた名無は首を傾げる。
「だから三つ巴燃えだよ。うまく均衡を保たなければ自分が殺られる……そんな感じかな?」
「お兄ちゃん………」
不気味な表情を浮かべる兄。
名無は兄の背中に抱き着いた。
「お兄ちゃん………●●無双…そんなに面白い…?」
「アハハ。まぁ普通だよ」
兄の手にはコントローラーが握られていた。
テレビ画面に映し出されるのは兄がコントロールしている武将。
敵を薙ぎ倒し前に進む。
「でもやっぱり現実世界のほうが面白いよねぇ。夢も希望も絶望もある」
背中からから抱きしめる名無に向き直り、正面から妹の体を包み込む。
自分も体が細いということは重々承知しているが、名無はさらに細い気がする。
「お兄ちゃん。ゲームいいの?武将殺られまくってるよ」
「いーよ。もう飽きたとこだし。それよりさ、お兄ちゃんと『遊んでよ』」
兄の言葉に妹は微笑む。
そしてゆっくりと両手で兄の顔を包む。
「お兄ちゃんって意外と甘えん坊だよね」
「名無だけにね」
怪しげな笑みを浮かべた兄に妹は満面の笑みで応えた。
「んっ…………」
兄と妹の唇が重なる。
それを禁断の恋というのか否か。
「………っ……ん……お兄ちゃ……」
臨也と名無はお互いに依存している。双方、どちらかが欠けてしまえば生きていけない。
それは名無が生まれた瞬間から決まっていた事実であり、必然である。
「…………っは……名無…」
互いを求め、互いを愛す。
その愛が兄妹としてのものなのか、
それとも違うものなのか………。
「お兄ちゃん……」
ただ同じく共通しているのは『愛してる』という気持ち。
それがどんな関係であれだ。
「愛してるよ名無。世界で一番ね」
「私もだよ。お兄ちゃん」
依存し合う兄妹。
離れることの出来ない兄妹。
その関係を知る者は今はまだいない。