折原家の愛しい妹

□秘密恋愛
1ページ/1ページ

 







「三つ巴燃えって………すごくいいと思わない?」

「え?」





唐突すぎる臨也の言葉に、チェスの碁盤で遊んでいた名無は首を傾げる。





「だから三つ巴燃えだよ。うまく均衡を保たなければ自分が殺られる……そんな感じかな?」

「お兄ちゃん………」





不気味な表情を浮かべる兄。
名無は兄の背中に抱き着いた。





「お兄ちゃん………●●無双…そんなに面白い…?」

「アハハ。まぁ普通だよ」





兄の手にはコントローラーが握られていた。
テレビ画面に映し出されるのは兄がコントロールしている武将。
敵を薙ぎ倒し前に進む。





「でもやっぱり現実世界のほうが面白いよねぇ。夢も希望も絶望もある」





背中からから抱きしめる名無に向き直り、正面から妹の体を包み込む。

自分も体が細いということは重々承知しているが、名無はさらに細い気がする。




「お兄ちゃん。ゲームいいの?武将殺られまくってるよ」

「いーよ。もう飽きたとこだし。それよりさ、お兄ちゃんと『遊んでよ』」





兄の言葉に妹は微笑む。
そしてゆっくりと両手で兄の顔を包む。





「お兄ちゃんって意外と甘えん坊だよね」

「名無だけにね」





怪しげな笑みを浮かべた兄に妹は満面の笑みで応えた。





「んっ…………」





兄と妹の唇が重なる。
それを禁断の恋というのか否か。





「………っ……ん……お兄ちゃ……」





臨也と名無はお互いに依存している。双方、どちらかが欠けてしまえば生きていけない。

それは名無が生まれた瞬間から決まっていた事実であり、必然である。





「…………っは……名無…」





互いを求め、互いを愛す。
その愛が兄妹としてのものなのか、
それとも違うものなのか………。





「お兄ちゃん……」





ただ同じく共通しているのは『愛してる』という気持ち。
それがどんな関係であれだ。





「愛してるよ名無。世界で一番ね」

「私もだよ。お兄ちゃん」





依存し合う兄妹。
離れることの出来ない兄妹。
その関係を知る者は今はまだいない。



 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ