折原家の愛しい妹
□情報世界
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部屋に響くのはフレンチトーストを焼く音。
時計は朝の8時を差しており、名無は兄を起こす準備をする。
「お兄ちゃーん。朝だよー」
キッチンから声を掛けるが返事はない。
昨日は遅くまで仕事をしていたせいで寝不足なのだろう。
「まだ起こさないほうがいいかな…」
フレンチトーストを皿に盛りつける。
なかなかの出来映えに思わず笑みがこぼれた。
兄の様子を見ようと寝室の扉を開くと、ぐっすりと気持ち良さそうに眠っていた。
傍へ寄り、寝顔を見つめる。
「可愛い……」
折原臨也を見て、『可愛い』と言うのは多分世界中探しても名無だけだろう。
「んっ………あれ…名無」
目を擦りながら見つめる兄に、「おはよう」とキスを落とす。
「いい匂い……フレンチトースト?」
「うん。でもまだ眠いでしょ?せっかくの休みなんだから…まだ寝てていいよ」
横たわる兄の頭を撫でる。
すると気持ち良さそうに目を細めた。
「じゃぁお言葉に甘えるよ。あと3時間したら起こしてくれる?」
欠伸をする兄に分かったと告げ、寝室を出た。
二枚焼いたフレンチトーストの一枚は冷蔵庫へ入れる。
「いただきます」
パクッと口の中へ入れると甘い味が広がる。
名無はパソコンを広げながら頬張った。