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□少女響声
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「痛………あっ……」
部屋に響くのは、少女の声。
「黙って。怒ってるのが分からないのかな?」
ベロリと傷を舐める臨也。
鋭く走る痛みに名無は表情を歪める。
「外に出るなって……言わなかった?」
傷口を攻め立て、服の中に手を入れる。
その度に震える名無は涙を浮かべた。
「だっ…て……お昼…ご飯…何もなくて…おにぃ…ちゃんと食べ…ようって思っ……んぅっ…………」
唇を唇で塞ぐ。
荒い呼吸音と厭らしい水音が響いた。
「そう言えば許すと思ってるのかなぁ?まぁ分からなくもないけどねぇ」
名無の涙を拭う。
顔に愛撫をし、舌で耳を犯す。
「ぁっ………やらぁ………//」
「煽ってるの?」
きつく抱き寄せ、息が出来ないほどにキスをする。
無事でよかった。
そう思いながら存在を確かめるように
何度も……何度も。
「ごめ…ん……なさい……心配かけ…て…ごめんな…さい…」
そう……分かっている。
お兄ちゃんがどれだけ私を想っているか。
分かっているからこそ苦しい。
今だってこうやって私を犯そうとしているのに手付きは優しく、愛撫も愛おしんでいるのが伝わってくる。
「……もういいよ。無事でよかった…」
また……涙が溢れる。
どうしてこんなにもたくさんの想いが溢れてくるんだろう。
どうして…お兄ちゃんがこんなにも憎くて愛しいんだろう。
私の大好きな非日常を壊そうとする兄。
大好きな友との間に傷を作ろうとする兄。
憎いはずなのに……
私は酷く溺れていた。