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□巡廻過去
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俺は……本当に沙樹が好きだったんだろうか?
時々…そう思うときがある。
「切り裂き魔……ダラーズ……黄巾賊…何かピースが欠けてる気がする」
俺にその何かは分からないが、でも何かが欠けていることは分かる。
そもそもあの日、あの黒バイクが現れた日。
首無しライダーの後ろに乗っていた少女は一体何者なんだろうか。
首無しライダーがダラーズのメンバーということはダラーズの組織自体にもあまり知られていなかったというのに、その都市伝説といきなり手を組んで切り裂き事件を起こすのだろうか?
「あー……頭パンクしそうだ」
とにかく確認しなければならないことがある。
まずはダラーズの責任者……もとい創立者に会いたい。
そう思ったとき、俺の足は自然と門田さんたちのところへ向かっていた。
門田さん達は昔、黄巾族と対立していた『ブルースクウェア』のメンバー。
沙樹の件でメンバーを裏切り、そのまま足を洗ったらしい。
散々話をし、軽い言い争いまでしたものの、結局門田さんたちはダラーズの創立者は知らないと言った。
しかし、有力であり極力避けてきた情報網を手に入れた。
門田さんに渡された携帯の番号。
これには確かに見覚えがある。
「結局……俺はこいつと話をしなきゃいけねぇのか……」
ぎりっと奥歯を噛み、携帯を強く握り締める。
過去はいつまでも追い掛けてくる。
そして少年は番号をゆっくりと押した。