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□愉快行動
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「……分かった。待ってるよ」
携帯を切った兄の横で名無は飼い犬と戯れていた。
「正臣から?」
名無は全て分かっているかのように、目線を合わすことなく臨也に問う。
「そうだよ。思ったより早かったねぇ」
クルッと椅子を回し立ち上がると、名無を後ろから抱きしめる。
「もうすぐ来るみたいだよ?隠れる?」
「大丈夫だよ。きっと正臣は『ちょっとだけ席を外してくれないかー?』っていつもの調子で言うと思うから」
それに……これは運命なんでしょ?
そう零した名無に臨也はチェスの駒を動かしながら言う。
「そう、これは運命なんだ。紀田正臣、園原杏里、竜ヶ峰帝人……それに君もね。折原名無」
「うん……」
きっと兄は分かっているのだ。
私がこの戦いに関わろうとしていることに。
だってほら………
「気をつけるんだよ」
こんなにも……
愉快で悲しそうな顔をしてるんだから。