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□予定変更
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「このこと……名無は…?」
「どうかなぁ?………知らないとは思うけど」
正臣との話を終えた臨也は名無の部屋をノックする。
「名無。紀田くんが帰るって」
臨也の呼び掛けから数秒しても、部屋から返事は帰って来なかった。
眠っているのかと部屋の扉を開けると、そこはもぬけの殻だった。
「…………いない……?」
臨也の表情がすぐさま曇った。
そして急いで携帯を握り締める。
「臨也さん…?」
首を傾げる正臣に臨也は指を差す。
「君にはやることがあるはずだよ。早く行ったほうがいい」
まるで、邪魔だから早く消えてくれと言っているようで正臣は早々と部屋を出ていった。
「繋がれ………」
名無の携帯に電話を掛けるが、なかなか出なかった。
「くそっ……巻き込まれるじゃないか…」
これは臨也の予想プランにはなかったこと。
まさに想定外のことだ。
「予定変更だ!あの企業は俺が話をつける。君達は二手に別れて企業の足止めと黒髪で瞳の赤い女の子を探してくれ!」
携帯で誰かに指示を出す臨也。
そしていつものコートを羽織り、傘も差さずに外へ飛び出していった。
((やっぱり軟禁でもなんでもするべきだったっ……!))
そう。
この事件に深く関わらないように。