短編とリクエスト
□抱愛寸前
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夏はとにかく暑い。
冬は着込めばそれなりに温かくなるのに夏は何枚脱いでも暑い。
その暑さが今日、無無を悩ませていた。
「あっついー………」
口に棒アイスを咥え、キャミソールに綿短パンでソファでうな垂れているのは臨也の妹、無無。
「お兄ちゃん……まだなのぉ……?」
今朝方、折原家のクーラーが突然故障。
買ったばかりだったので完全なる不良品だ。
臨也は業者に連絡を取るより買ったほうが早いと10時に開店する電気屋に向かっていった。
留守番を任された無無はその暑さに耐えながら唸り声を出す。
「くそぉ……あの業者どういう仕事してるんだよぉ……やっぱりジャパ○ットにしておくべきだったかなぁ…」
ソファで某テレビショッピングを見ながら溜息をつく無無。
口に咥えた棒アイスはもう2本目で無無は3本目のアイスをキッチンに取りにいった。
「ただいま」
「ん?お兄ひゃん、おかへり」
棒アイスを咥えたままキッチンから顔を覗かせた無無。
臨也は目を丸くしたあと、再び『ただいま』と返す。
「買ってきたよ。あと15分もあれば業者がここに付くんじゃないかな」
「よかったー!もう暑くて暑くて死んじゃいそうなんだから!」
アイス片手に笑う無無。
そのまま再びソファに戻り、テレビ鑑賞を再開する。
「無無。いくら暑いからってその格好はどうかと思うなぁ。業者も来るんだし、着替えなよ」
「んー。あと5分ぐらいしたらねー」
臨也の言葉を聞き流しているのか、無無はテレビショッピングに夢中だ。
そんな妹の横に腰を下ろし、一緒にテレビを眺める。
「無無。アイス溶けるよ」
「おおっと。ホントだ」
無無がパクリとアイスに噛み付き、いちご味のアイスがパキンと折れる。
臨也はそれを見、無無の手首を流れて行くアイスを舐めとった。
「うわわ……流れちゃってた?」
「そーだねぇ。ちなみにここにも付いてるよ」
臨也はそう言いながら無無の唇にキスをした。
まだ口の中で溶け切っていないアイスを臨也が舌で絡め取る。
「…ん………っ…ふ……//」
「…………っ……ん…」
臨也はそのまま無無のキャミソールに手を掛けた。
その拍子にボタリとアイスが床に落ちる。
「お兄ぃ…ちゃ…………ん…//」
「んー……?」
先程無無が臨也の話を聞き流したように、臨也も無無の話を聞き流す。
「……アイスっ………落ちちゃ………ったよ………ぁ…//」
「………っそうだねぇ……」
身体中に愛撫をする臨也。
無無の瞳はだんだんと潤み始める。
「業者さん……来ちゃうよ…ぉ………?」
「…………っ……関係ないよ…」
唇の中を犯し続け、僅かな酸素も与えぬようキスをする。
肺に空気を入れようともがけば響く自分の声。
無無は顔をピンクに染めた。
「………っ…ん…………ごめ…なさ……い………着替え……ます……//」
「………っは……よく出来ました」
満足そうに微笑んだ臨也は無無の額に音を立ててキスをする。
立ち上がった無無は真っ赤に頬を染めながら自分の部屋へ駆け込んだ。
「あーあ……片付けなきゃねぇ」
無無がフローリングに落としたアイスを広い、ゴミ箱へ放る。
「ご馳走様でした」
舌舐めずりをした臨也はそう呟き、チャイムが鳴った玄関の方へ向かった。
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