短編とリクエスト
□願届君捧
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これが運命だというのなら、
俺はいもしない神様というやつを呪いたい。
「君ってさ、本当に馬鹿だよね」
いつもの場所、いつもの空。
いつもの池袋。
何も変わらない。
命がひとつ無くなったところで、
何も変わってはくれない。
「どうして……」
そう。
どうして見ず知らずの子供なんか助けて、死んだりするんだ。
「昔からだよねぇ。お人よし過ぎるんだよ、無無は」
同じ小学校、同じ中学校、同じ高校。
離れることなどほとんど無かった。
つるんでいた来神の中で唯一まともな職に付いた無無。
喜怒哀楽が激しくて、上司によく怒られていたらしい。
皆から避けられる俺らみたいな異質にも、変わることなく接してくれる。
「もう分からないんだよ。……君をいつから好きだったとか……いつから君の存在ががこんなに大きくなってたんだろうとか…」
全ての人間を平等に愛してる。
その中で特別嫌いなのが平和島静雄。
特別好きだったのが…名無無無。
「ねぇ。答えてくれないの?俺が質問してるのに」
情報屋であるこの俺が…
唯一知らないこと。
「無無はさ……俺のことどう思ってたのさ…」
返ってくる答えなど無く、
行き過ぎた悲しみに笑みさえこぼれる。
「は…っ……情けないよねぇ…」
口元は笑ってるのに、頬を伝うこれはなんだろう。
「答えてくれないなら…答えてくれる場所へ行くとするよ」
神様を信じていない俺は、
果たして無無のところへ行けるのか。
「まぁ……無無が見つけてくれるか…」
その日、折原臨也は新宿から姿を消し、池袋の路地で眠るように横たわっていた。