短編とリクエスト

□其瞳俺映
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彼女はいつも、煙草の匂いがした。
それは大嫌いで仕方ない奴と同じ香り。


シズちゃんと無無が付き合っているのは知っていた。
よりによってなんでシズちゃんなんだろうと考えたが、無無の笑顔を見るとどうしても何も言えなくなってしまう。




どうしてシズちゃんなのか。
どうして俺じゃないのか。




聞きたいことは山のようにあるのに、今でも変わりなく接してくれる無無との関係を壊したくなくて……今日も何も聞けずに終わってしまう。





「あぁ!もうこんな時間!?臨也、またね!」

「…うん。慌てて転ばないようにね」

「あははっ。分かったよ」





俺に背中向けて走り出してしまう無無。
向かう場所が平和島静雄の場所だと分かっているからこそ、尚辛い。





手に入れられないものなんてないと思ってた。
欲しいものは全て手にしてきたから。
でも……1番欲しいものには手を伸ばしても届かなかった。





「……バカだなぁ…ホント…」





もっと早く君に出会っていれば。
もっと早く君に伝えていれば。
そうしたら……今俺の隣に君がいたんだろうか?





「無無!!」

「……?なーにぃー??」





大声で呼び掛ければ振り返る君。





「……また飯行こうね!!」

「……うんっ!もちろんだよっ!」





シズちゃんと付き合ってたっていい。
このままの友人関係だって構わない。

ただ……………





「イタリアンじゃないと嫌だからねー!」





どうかその瞳に少しでも、
俺の姿が映っていますように。










end...
 
 

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