短編とリクエスト

□君絶不勝
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「……無くなってしまうかもしれないね」

「……なにが?」

「……………お兄ちゃんの…

























パソコンの容量」

「……………」





とある夏の日。
窓の開けられないこの家では朝っぱらからクーラーを掛けていた。

設定温度は28度。
環境と節電を考え……というより無無が28度設定じゃなきゃ付けちゃダメというので渋々従った臨也なのである。





「FTPで5テラ持ってるから大丈夫だよ」

「あーそう。なら大丈夫だね」





ちなみにFTPとはネット上にデータを保存する貸金庫みたいなものである。





「夏だねぇ。どこか行きたい場所とかある?」

「それを今お兄ちゃんのパソコンで調べてる」





カチカチと慣れた手付きでインターネットを操る無無。
臨也はそれを後ろから覗き込んだ。





「海?」

「うん。行ったことないの」





だろうね、と臨也は心中で呟く。
そもそも両親が海が好きじゃない。
潮風に当たるとベタベタするし、暑くて死ぬと大分昔に口にしていた。

無無が大きくなってからは…臨也がそれを制限している。
何故か。理由は簡単。

無無の水着姿を周りに見せたくないからである。





「行きたいなぁ……」

「ダメ。水着着なきゃだめじゃん。露出多いのは論外だよ」

「じゃぁスク水にするから!」

「…それはそれでマニアッ……いや!ダメ!」





むぅっと膨れる無無に臨也は苦笑いをこぼす。
確かに年頃の女の子。
海ぐらい行ってみたいだろう。





「なぁんてね♪実は実は!本日はお兄ちゃんに反抗しようと杏里ちゃん達と予定を組み込みました☆」





にひひーと笑う無無に目を丸くする。




「お兄ちゃんは反省して下さい!束縛は乙女の敵ですよ?」

「……………」





これにはカチンときたのだろう。
臨也は無表情のまま無無を見つめる。




「好きにすれば?」





すっかり拗ねてしまった臨也。
ソファに座り、無無に背を向けてしまう。

そんな臨也の背中を見て笑い、後ろからぎゅっと抱きしめる。





「ねぇ?拗ねてるの?」

「拗ねてないよ」





嘘つき。
そう言いながら無無は臨也の唇にキスをする。





「ちなみに嘘を付いたのは私も同じ。海なんて行かないよ♪初めてはお兄ちゃんと行きたいから」

「……!」





可愛いこと言っちゃってさ……。
向かい合うように膝の上に乗せた無無に啄むようにキスをする。





「……仕方ないから連れていってあげるよ」

「やったぁ♪お兄ちゃん好き!」





敵わないなぁと漏らす臨也の頬は緩みっぱなし。
作戦勝ちですねーと呟く無無の頬を悔しさから引っ張る。

「いはい、いはい(痛い、痛い)」と言いながらにへらと笑う。





これだから扱いにくいよ。
溜息を吐いた臨也に無無は勝ち誇ったように笑った。











end...

(ただイチャイチャさせたいだけだったのです..)
 
 

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