短編とリクエスト
□暗転断線
1ﾍﾟｰｼﾞ/1ﾍﾟｰｼﾞ
気付いた時、私は折原臨也に抱きしめられていた。
息の出来ないほど強く、そしてどこか優しく……。
どうしてこんな事になっているのかが分からない。
パニックになっている私は臨也の名前を何度も呼ぶ。
ようやく見ることの出来た表情は苦痛で歪んでいた。
「…臨……也………？」
「どう…して…っ…？」
まるで搾り出すように話す臨也。
なんのことだかまるで分からない。
「どうしてシズちゃんなのさ…っ…どうして……」
「臨也………」
臨也は泣いていた。
冷たい雫は頬を伝い、ぽたりと落ちる。
「俺だって好きなのに…っ……シズちゃんよりずっと前から……好きで好きで好きで……大事にしたくてっ…」
「…………っ…」
人間を愛しているなんて言って、
歪んだことばかりしていて、
彼はいつも私の知らない世界にいた。
「苦しいんだよ……君達を見てると…っ。説明出来ないもどかしさに襲われる…！壊したくなって……嫉妬心が消えなくてっ…！」
あぁ……こんな臨也は初めて見た。
感情に身を任せて話すなんて…いつもの彼じゃ有り得ない。
それだけ…私の事を……？
「……ごめん………ごめん…ね…」
理由の分からない涙が溢れてきているのに、私は泣いていることに気付かなかった。
臨也に頬を撫でられ、ようやく気付く。
「あ………れ……？おかしいな…」
泣いていると気付いた瞬間、私は嗚咽を漏らしながら泣き出した。
静雄とは別れたくない。
でも……臨也との関係も壊したくない。
そんなわがままな気持ちが彼を傷付けた。
そう思うと私のせいとだと責めたくなる。
「ごめんなさいっ……ごめ…んなさい…っ…」
「泣かないでよ………」
ねぇ。最後にずるいことしてもいいかな？
臨也はそう言って私の唇にキスをした。
驚いた私の涙は止まる。
「泣き止んだ。……笑ってるほうが…可愛いよ…？」
臨也はそう言って弱々しく微笑んだ。
そして最後に、もう一度私を強く抱きしめ囁いた。
さようなら――――
この日を境に、臨也は私の前から姿を消した。
end...
［一応『其瞳俺映』の続き的なものです!］
［臨也の涙を見てみたい！という変態うP主ww］
―――ﾀｲﾄﾙは某ﾎﾞｶﾛ曲から...