短編小説
□短々編集
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ホワイトデー/神田
期待しないことにしよう。
神田からのお返しなんて。
きっと忘れてるだろうから、がっかりするのいやだもん。
期待なんてしてたらきっと責めたててケンカになっちゃうもん。
ホワイトデーにケンカなんて最悪だから。
って心に決めてたはずなのにやっぱり落ち込んでしまう。
思った通り神田はいつもと変わらなくてホワイトデーなんてカケラも覚えてないようだ。
まぁ神田らしいっていったらそうなんだけど、
でもこういう時ぐらいは恋人らしいことしたいじゃん。
私、一応 彼女なんだから。
「お前、なんか元気なくねぇか?」
神田の言葉。心配してくれるのは嬉しいけど原因は神田。
「そんなことないよ?」
無理矢理の笑顔。
「なんかあっただろ」
・・・。こうなったら言ってみようか。
「じゃあ神田、今日は何の日でしょうか」
「ホワイトデーだろ?」
ありゃ、覚えてた。
ってことは・・・・・・・
「ほら、これ」
差し出されたのは小さな箱。
中を開けると入っていったのは十字架のチョーカー。
信じられず神田をみると真っ赤な横顔が見えた。
嬉しくて、そんな神田が愛しくて、私はぱっとチョーカーをつけた。
「見て!神田、似合う?嬉しい。私、一生外さないから」
はずむ声。首元に光るチョーカー。俺の証。
絶対似合うと思ったんだ。
「神田ッ、神田っ」
「何だよ」
「大好き」
私は神田にぎゅっと抱きついた。
「あたりまえだろ」
神田は愛しそうにその頭を撫でた。
それが私たちの付き合って一番最初のホワイトデーの物語。