短編小説

□短々編集
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ただすごく青い空と、


まだらに散らばる白い雲と、


頬を撫ぜる、時折通る涼しい風が、



どうしようもなくうざったい。



「空は青すぎ、つまんない。雲とか…気色悪い。風なんて不規則ならいらない」


「夢の欠片もないセリフだな」


「ああ、今日も良い天気!お日様が気持ち良いわ…な〜んて言えるわけないじゃない」


愛らしい見た目とは不似合いな言葉たちに苦笑するティキ。


「それとも、ティキはそんな女の子の方が好みかしら?」


悪戯な笑みを浮かべて問うのは、答えが分かりきっているから。


「ご存知の通り、俺はそんなお前が好きだよ」


「ふふっ、よろしい」


擽ったそうに笑って、


その柔らかい唇を、俺のに軽く重ねて。



その高飛車な態度さえ、


精一杯の強がりと知ってしまえば。



「でも、そうね。ティキが傍にいてくれるなら、こんな日も良いかもしれない」


「お、今日はやけに素直で」


「たまにはいいでしょ?」


「勿論」



俺も好きだよ。


お前が傍にいてくれるなら、どんな日だって、


お前がいてくれるなら、どんな世界だって。


お前がいてくれるだけで、全てがこんなにも輝くから。






姫、あなたがお望みなら、


決してそばを離れません。



姫、あなたがお望みなら、


何でもしてみせましょう。



それが、俺に出来ること。


そして、貴女が望むこと。



ほら、それを叶えるために必要なものは揃っています。




そう、俺と貴女の、愛。




秋晴れ
(雨の日だって、この気持ちに変わりはないけどっ)



END

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