短編小説

□短々編集
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クリスマス/学パロ編



雪がちらつきそうな寒さ。


賑わう町のイルミネーション。


恋人たちは肩を寄せ合い囁き合う。


今日はクリスマスイヴ。




放課後、冬の日没は早い。


もうすでに薄闇の保健室。


部屋の主は眠っていて電気をつけるのを忘れているようだ。


誰もいないのを確認してそっと額に口付けてみる。


整った寝顔に呟く。


「せんせ、クリスマスプレゼント持ってきたよ」


「ん…」


ゆっくりと目を開いて


おはよ、なんてもう夕方でしょ?


「明日、開校記念日だから、代わりに」


はい、と言って手渡したのは今先生が吸っているのより少し軽い煙草と携帯灰皿。


「煙草って一箱で5秒寿命縮むんだって」


ふぅん、と言いつつ一本取り出して火を付ける。


ふーっと長い息を吐く姿が妙に幻想的だった。


「吸ってる気しねー」


「仕方ないでしょ。…先に逝かれたら嫌だもん」


ふっ、って笑ったのがからかわれてる気がして。


なんとなく、顔が熱くなった。


「可愛いこと言うねぇ」


「だって、ただでさえ年の差あるのに…」


いつしか貴方の香は、とても落ち着きを感じられる匂いだと思うようになったけど。


それでも。


ぽんぽん、と頭を優しく叩かれて、ふと我に返る。


「ありがとな」


余裕たっぷりの大人の笑みは、ずるいと思った。




「ん…」


軽く唇が触れてから、強く抱き締められる。


もう一度、次は深く長くなった口付けは、


プレゼントのお返しには充分すぎて


私は簡単に満たされてしまう。




「お前さ、明日空いてる?」


「うん…?」


「たまにはデートもいいだろ?遠くまで行けばばれねぇし」


「…うんっ」




聖夜には二人揃って輝く街に出かけて


身分も規則も関係なく、


誰にでも訪れる祝賀の日を


思いっきり楽しもう。



END...

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