特別企画作品

□あなたの瞳
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ふと、目を閉じれば浮かんでくる。

あの人の瞳。

見つめられると心の奥まで覗かれてしまいそうな。

吸い込まれてしまいそうな。

でも、瞬きするのも勿体ないくらいの綺麗な瞳。

こうして目を閉じていても、あの瞳が瞼の裏に焼き付いていて……離れない。

そんな事を考えてから、ゆっくりと私は目を開いていく。



『キャッ!!』



視界が明るくなった途端、さっきまで瞼の裏の残像を見ていた私の目の中に、その瞳が再び飛び込んでくる。



そしてその瞳に私の心の奥まで覗かれてしまいそうになる。

吸い込まれてしまいそうになる。




あなたの瞳を思い浮かべていたなんて言えない。

私が俯きかけると……



ーーーーーグッ!



私の顎をあなたの指先が捕らえる。

そして近付くあなたの顔。



ーーーーーチュッ



軽く触れたお互いの唇。



チュッ、チュクーーー



二度三度……重なり出せば止まらなくなる口づけ。

そして絡まりだすお互いの指先ーーー絡まり合う肌と肌。



次第に漏れだす二人の吐息……私のそれが喘ぎに変わる。



そしてあなたの唇が離れた。



『愛して……んっ!!』



愛している…この言葉を私に伝える為に離された唇。

それを遮るように今度は私から口づけた。



驚きを隠せず見開かれたあなたの瞳がふっと細くなり、それから私の心を確かめる。



『愛しています。』



そして私の心を覗いたあなたの口づけが、次第に激しさを増していった。


いつものように。



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