特別企画作品

□酔い
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『斎藤さんって酔っぱらったりするんですかね?』



お前のそんな一言から始まった飲み会。

俺と新八、左之と平助。そしてお前の五人で左之の部屋で飲んでいるわけだが……。



四人の視線が俺に集中している。



正直酒で酔った記憶などない。
俺も自分がどうなるのか?
見当も付かずに、今こうして酒を飲み続けてはいるが。



『一君、強いな〜!これだけ飲んでも全然変わんないじゃんっ。』



『ほんと大したもんだな。こんだけ飲んでんのによっ!』



平助と新八が真っ赤な顔で俺の様子を伺い、その後ろからひょっこりと顔を出し俺の様子を伺うお前に視線を向けた。



『………斎藤さん?ちょっと目が据わってないですか?』



俺の顔をじーっと見つめてくるお前の視線が痛くなり、俺はすっと目を逸らす。



『斎藤。もしかしてお前、酔ってんのか?』



左之の質問に答えようとしたが、手に持っていた杯に酒を注ぎそれを一気に飲み干す。



すると視界がグラリと一瞬揺れたような気がした。



『厠へ行ってくる。』



俺はなるべく皆に気付かれぬようスッと立ち上がり、左之の部屋を出て廊下を歩きだす。

これは酔っている証拠なのか?

少し頭が痛くて視界がぼやける。

まぁいい。

兎に角今は厠へ向かうのが先だ。



俺は厠で用を済ませ、左之の部屋へ戻るーーーー筈だった。



ーーーーーーーーーーーー



『左之。斎藤、ふらついてなかったか?』



『ありゃ酔ってんな。』



『そーなのか?いつもの一君だったと思うけどな〜。』



『…………遅いですよね?斎藤さん。』



『部屋に戻ったんだろ、きっと。今夜はもうお開きにしようぜ。』



そして皆解散となった。



ーーーーーーーーーーーー


う……ん…



『ん?此処、は……』



俺は眠っていたのか?

誰の部屋だ?



見慣れない天井を眺め部屋の中を見渡す。



ーーーーースーッ。



『さ、斎藤さん?!』



振り向くと驚いた顔のお前が立っていた。



『あんたの部屋だったか。すまぬ、すぐに出る。』



俺はそう言ってすぐに立ち上がったがーーーー再びグラリと揺れた視界に身体が付いていかず態勢を崩した。



『斎藤さんっ!……大丈夫ですか?』



それをお前に支えられる。



『よかったら、少し休んでいって下さい。』



そう言ったお前が俺から離れ、押し入れから布団を取りだし敷いていく。



敷き終ると俺の元へ戻ってきたお前は、俺の腕を自分の肩へと回し細い身体で俺を支えた。



まさか、あの布団に寝ろというのか?

こんな夜更けにそれは不味いのではないか?

相手は男装をしているとはいえ、女だ。

いや、少し休むだけだ。

いやいや、やはり不味い。

男と女だ。

何が起こるか分からぬ。



だが俺はーーーーそんな事を考えている間にも布団の上で横たわっていた。



『ふふふ。やっぱり斎藤さん、酔っぱらってたんですね。』



ふわりと笑ったお前の顔を見たら無性にお前を抱き締めたくなった。



ギュッーーーー



『さささ、斎藤さん?!』



ビクッと一瞬身体が強張ったお前の唇を強引に奪った。



酔っているのかもしれない。



だがもう、そんな事はどうでも良い。



酔っていたのならば…酔い冷ましにこの場でお前を俺のものにーーーー。



押し倒したお前は顔を真っ赤にしながらも抵抗する様子もなく。



俺はそのままお前に溺れていった。






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