僕と君との過負荷な日々。


□第-2箱『だから、居場所探し』
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「『本題に入ろうか?』」

そう言った球磨川の顔つきは、とても真剣なものに変わっていて。
さっきまでのふざけた雰囲気が、嘘の様だった。
外から、チャイムが聞こえてくる。朝礼が始まってしまったらしい。
千衣は朝礼に出ること諦め、改めて球磨川へと向き合った。

「『一年一組、藤野千衣ちゃん。

昨日はどういった用件で生徒会室に?』」

「……別に、自分の中で解決したので、もう大丈夫です」

千衣は皮肉った口調で続けた。

「生徒会は、相談するのをやめた人を追いかけ回す程暇なんですか?」

「『んー、僕以外の人たちはやらないだろうねー

わりと忙しいんだよ、生徒会ってのも。
ま、今回の場合はね……』」

「今回は……?」

一呼吸おいた球磨川をせかすように、千衣が言った。

「『君のスカートの中がやっぱり気になるから!』」

「ーー!?黙れ変態っ!」

「『僕は黙らないぜ!僕は変態じゃないからだ!欲望に忠実な健全なる男子高校生だ!』」

「ちょっと忠実すぎですよ!」

「『おいおい、藤野ちゃん、世の中の現実ってものを良く見たほうがいいぜ。

男子高校生なんて、こんなものなんだから!』」

「嘘だ!

こんなに忠実な奴ばっかりだったら、世の中は今頃犯罪者だらけです!」

「『心はみんな、犯罪者!』」

「どう?みたいな、してやったり顔でこっちを見ないでください!」


真剣な雰囲気はどこへやら、またふざけた雰囲気に戻る球磨川。

本当に、つかめない人だな……と千衣は改めて感じた。


「『――藤野ちゃん。


君、もしかしてある種の天才かい?

どうして話がこんなに脱線してしまうんだ!』」

「それは、ほぼあなたのせいです!」

「『ひどいな、僕は悪くないぜ』」

「あなたが変な事言うから、脱線するんじゃないですか!」

「『確かにね!
オーケー、なら、変な事、言わないように自制するよ。

僕としても、これ以上話が進まないと困るんだよね〜』」

最初からそうしてくださいと、心の中でつっこみつつ、千衣はまた、雰囲気が緊張したものに戻ったのを感じた。
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