僕と君との過負荷な日々。
□第-3箱『昨日はごめん』
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翌朝。
普段通りに登校し、席についた千衣。
しばらくすると、まるで昨日の朝のようなざわめきが、廊下から聞こえてきた。
そして、千衣のいる教室のドアを開けたのは、やっぱり球磨川で。
「『のいて』」
邪魔な生徒にはそう言いながら、千衣の方へと歩いてきた。
球磨川の表情は、昨日とはうって変わったように鋭かった。
昨日のこと、やっぱり怒ってるんだ……。だから来たのかな。
千衣はそう思い、思わずため息をついてしまう。
それくらい、球磨川の表情は鋭い。
千衣の席の前まで来た球磨川は、千衣をしっかりと見据えて言う。
「『ーー昨日はごめん』」
ーーえ?
謝りに…きたの…?
あっけにとられている千衣をよそに、球磨川はそれ以上なにも言わず、教室から出ていってしまった。
「藤野、お前、昨日球磨川と何かあったのか?」
そのやりとりを聞いていた人吉が、千衣に聞く。
「そんなたいしたことじゃないよ」
大丈夫だよ、そんな意味をこめて微笑みながら千衣は答えた。
「……そっか」
その笑顔に安心したのか、人吉はそれ以上深くは聞いてこなかった。