僕と君との過負荷な日々。


□第-2箱『だから、居場所探し』
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「『悩みは自分で解決した、だから大丈夫って、さっき君は言ったよね?

あれ、嘘でしょ?』」

「そんなことないですよ?」

「『正確に言うと、諦めた、って言った方が正しいのかな?

もーいいやぁ、とか、自分に言い聞かせたりとかしちゃって』」

千衣は、それを聞いて困惑してしまう。

ーー確かに、もういいや!なんて思った。けどどうして、会ったばかりのこの人にそんな事が分かるの!?

「『居場所がなくなるのが怖い?自分の場所を作りたい?いつか友達に置いていかれそうで嫌?

ふうん……ありきたりな弱点、むしろ悩みだね』」

「っは!?」

千衣はすっかり、心の中で取り乱してしまう。

「わ、私の悩んでた事っていうのは、そんな事じゃありませんよ!」

「『へぇ……。
だったら、どんな悩み?』」

「……それは……入部してみたい部活がないって事です」


「『なるほど。

でも、それって結局は自分の居場所探しって事だね。
やりたい事も無いのに、なんで部活に入りたいの?
テニスがやりたい、バスケがやりたい、吹奏楽がやりたい。だから部活に入る。

目的がはっきりしてるよ。
でも君は、そんな目的も無いのに、部活に入りたいって言う。

――だから、居場所探し。
部活に入れば、肩書と、退部するまでの居場所と人間関係を得られるもんね』」

「そういう事じゃ……」

「『だったらどういう事?
説明してみてよ』」

「わたしは、ただ……部活動に憧れてて、それで、高校生になったらやりたいなって思ってて……」

「『部活動っていう居場所に、でしょ?』」

「だから、そういう意味じゃありません!」

「『……僕には、人の弱点が見えるんだよ。

藤野ちゃん、君は居場所が欲しいって、僕の眼に主張してるぜ』」

「……」

千衣は、黙るしかなかった。

何を言い返しても無駄だと千衣は悟った 。
きっとこの人は、更に言い返してきて、自分は丸めこめられてしまうと。

その上、居場所が欲しい、いや、そんなにはっきりとした思いじゃなかったかもしれないが、ちょっと寂しいな、なんて思ってたのは事実だった。
だからこそ、言い返せなくなってしまう。
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