-レンサイ-

□CM
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ついにやってまいりました、CMです。

「CM…?何か宣伝するの?」と思った方、いらっしゃると思います。

私も分からなかったですから…。



帰り道



「お千ちゃん、学校で気になる事があったんだけど…。」


「何っ!千鶴ちゃんの可愛さに女子たちが嫉妬したって!千鶴ちゃんに手を出したら許さないんだからっ!」


「お千ちゃん…。」


「そんな呆れた顔しないでよ、千鶴ちゃん…で、何?」


「CMって何?何か宣伝するの?」


「あぁ〜…確かに分からないわよね…略し方間違えてると思うんだけでど…。」



お千ちゃんの話によると、「CM」は「クラスマッチ」の略称らしい。





と、いうことで



「今日は、CM当日だっ!皆、絶対勝つぞ!」


『おぉ〜!』



学級委員長さんが、今まで見たことがないぐらい張り切っている。

いつもは、ガリベンに見えるんだけどなぁ…。



「千鶴、頑張ろうぜっ!」


「うんっ!」


平助と笑いあう。




開会式が終わって試合が始まった。

試合のないチームは、ギャラリーに上がって応援をする。

点が入るたびに聞こえる大きな歓声。


自分のチームの番になった。

チームの仲間と協力し、次々に点を入れていく。

そんなとき…



「あっ!」


「雪村さん!?」



アタックしたあとの着地に失敗して足をひねってしまったらしい。

試合が、一時中断となりそばにいた原田がかけてくる。



「千鶴、大丈夫か?」


「大丈夫…だと思います。」


「立てるか?」


「はいっ…った!」


「先生、保健室連れて行った方がいいんじゃないですか?」


「だな、よしっ。」



ひょいと、お姫様だっこで千鶴を抱き上げる原田。

回りから黄色い歓声が聞こえてくる。



「え!試合どうするんですかっ!」


「補欠いるから大丈夫よ、雪村さん。足、しっかり見てもらわなきゃ。」


「ごめんなさい…。」


「大丈夫よ!千鶴さん、前半すっごい頑張ってくれたから点差あるし。後は、私たちを信じて任せなさい!」


「ありがとうっ。」



チームの仲間に後押しされて保健室へ連れて行かれる。

保健室の扉を原田が押しあけると、待っていましたとばかりに先生が振り向いた。



「やはり怪我人が出ましたか…って、雪村君!」


「足ひねったっぽいんだよ、見てやってくれ。」


「分かりました。原田君は、そこの椅子に雪村君を降りして下さい。」


「おう。」



手際良く指示をしていく山南。

ひねった左足首をぺたぺた触っていく。



「そこまでひどいようではないですが…直るのに少しかかりそうですね。一応、病院に行った方がいいかもしれませんが今すぐにというほどではないですよ。」


「よかった…。」



自分よりも、原田の方がほっとしたような顔をしている。



「原田先生、ありがとうございました。そんなに心配してくれたんですね。」


「ん…あぁ、顔に出てたか。まぁな…剣道部の美しき華が、傷付いたとなっちゃ、俺以外の奴らでも心配するだろうがな。」


「そうでしょうか…。」


「そういうもんなんだよ。」



なんかナデナデされた…子供扱いされてるような…、まぁ、子供ですけど…。



CMの結果は、一組の勝利で終わった。

自分が抜けた後も、そのチームは勝てたらしい。



「千鶴、大丈夫だったか…?試合中だから抜けられなくてさ…。」


「うん、大丈夫!平助君すごかったんだってね!」


「あぁ…。」


「平助君?」



いや、さぁ…と照れたように頬をかく平助。



「千鶴が気になっちゃってあんまり本気出せなかったっていうか…。」


「…平助君…。」



平助もそんなに心配してくれていたのか…。


原田も言っていたが…。


そう考えると、何だか心があったかくなった。





続く

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