-レンサイ-

□同級生
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「ほら、静かにしなさい。転校生を紹介するよ。」



転校生の紹介と言った途端ざわついていた教室が一瞬で静まり返る。

井上は、満足そうにうなずくと教室の前の扉をあけた。



「彼女が、今日から転入することになった雪村千鶴くんだ。」


「雪村千鶴です。よろしくお願いします。」



初めてのクラス、クラスの仲間…ざっと、教室を見回す。

こころなしか、ざわついている様な気がする…。


「じゃぁ、簡単に自己紹介をしてくれるかい?」


「はいっ。」



昔、この地区に住んでいたが父の都合で引っ越した。

しかし、父が戻ると言ったので兄と一緒に戻る事になった。

ちなみに、兄は私より先にこの学校に転校している「南雲薫」だという事を紹介した。

姓が違うのは、薫は母方の姓をとっているから。


簡単に自己紹介を済ませる。

井上先生は、うんうんと優しい顔でうなずいた。

南雲薫の事は、もうこの学年では知れ渡っているようだ。

どうやら、薫とそっくりだったからクラスの人たちはざわついていたらしい。



「じゃぁ、雪村君の席は…そうだな、平助の隣りにしよう。」


「平助?…もしかして、藤堂平助君?」


「なんだ、知り合いなのかい?」



藤堂平助。

幼いころ家の近くでよく遊んだ親友の名前と一緒だ。



「やっぱり!あの千鶴なんだな!」



平助は嬉しそうに立ち上がって手招きする。

教室内では「何、知り合い?」とか「昔住んでたっていってたし…。」とか言っている。

新しい自分の席に座ると、平助が嬉しそうに話しかけてきた。



「久しぶりだなー!随分女らしくなったというか。」


「失礼だなー…平助君髪短くなったね。」



昔は、男の子?と思えるほど長かったはず。

ポニーテルのように高いところで結っていた。

そういえば、薫がよくひっぱっていたなぁ…。



「さすがになー、学校行くようになって邪魔になったからばっさりと。」


「雪村君、平助、ホームルーム進めていいかい?」


「「あっ……。」」



思い出話に花を咲かせてしまった。

教室の仲間にはクスクス笑われてしまっている。



『あとで話そうな♪』


『うん。』





つづく

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