黒バス2

□たいやき
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(…あー、暇だ)


昼休み直前の授業。
つまり4時間目は、とてつもなく暇な時間。


だって腹は減るし、頭も使い過ぎてお休みの時間だ。

いくら得意な数学だとしても、やる気は全然でない。



先生の声が子守歌にしか聞こえないのは、きっと俺以外にもいると思う。


何か、暇を通りこして眠くなってきたんだけど。



(寝よっかなー・・・)




俺の席は窓際一番後ろの特等席。

横を見れば校庭がよく見えるから暇つぶしはできるし、冬でも日差しが入るから少しは暖かい。


それに先生にも見つかりにくい。



黒板は少し見えずらいけど、そんな真面目に勉強を受けたいわけでもないし、気にならない。





ホントに暇すぎて、眠すぎて困った俺は、ふと校庭を見た。




体育をやってる男子生徒の群れが目に入る。





(あ、日向達のクラスじゃん)




ちょっとつんつん頭でメガネが特徴のバスケ部。

地味なように見えて実は結構良いキャラをしてる。


日向が目に入った。






(いーなー、楽しそうだし…)





どうやらサッカーをしているようだ。

俺らバスケ部はボールを使うけど、手で使う。

でもサッカーは足だったはず。

つまり、バスケほど上手くボールを扱えないわけであって。


日向はお世辞にも上手いとは言えなかった。




(うわ、日向、ヘタ)




ミスして焦って、焦ったせいでまたミス。

そんな日向を見ていたら、自然と口に笑みを浮かべていた。


日向は伊月がそんな風に思ってるにも関わらず、チームメイトにからかわれている(ミスのことで)




(やっぱ人気者なんだ…)




チームメイトの反応を見ればわかる。

ミスを笑って許してくれて、ふざけて怒ってみて、その反応を見て笑う。


そんなこと、仲が良い奴にしかできない。



それをされてる日向を見て、やっぱり人気者なんだなって思った。




(何か…)





それと同時に胸に痛みが走ったのを、伊月はまだ気づいていなかった。



それに気がつくのがいつかなんて、まだ分からない。









(なんか、日向のクラスメイトが羨ましい)
(だって楽しそうじゃん)
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