黒バス


□モンブラン2
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日向が何か持ってる。

薄いピンクのいかにも女子!って感じの封筒だ。


…ラブレター?

…誰から貰ったんだろう。




俺はじーっとそれを見る。


そして、ある文字が目に入った。


「伊月俊君へ」


オレンジ色の丸い文字で、俺の名前が綴られてた。





「何持ってるの?」



なんで、日向が俺宛ての手紙を持ってるの?

しかも、見た目からしてラブレターだよね?

…日向は、俺が誰かに告白されてもいいんだ……。


俺だったら、日向に渡してって言われても絶対、渡さない、のに…。



「なんでもねぇよ」


「じゃあ見せて」



なんでもないの?

じゃあラブレターとかじゃないのかな?


…いや、それはないだろう。



「いっただき」



俺はさっと日向の手からそれを奪った。


どれどれ…
内容は…。



「…日向が書いたの?」


「違う…」



だよね。


内容は予想通りのものだった。


別にこの子と付き合う気なんてない。

だから、正直手紙はどーでもいい。


今一番気になってるのは…、


日向の、気持ち。



俺が付き合ったらどう思うだろ?

でも、それを確認するために誰かと付き合うなんて嫌だ。



俺は、中学の頃からずっと…



「日向、部活いこうよ?」


「え?手紙はいいのか?」


「別に付き合う気ないし」



俺は、日向が…。



なんていったら、気持ち悪がられるよね…。


あーあ、なんで俺男なんだろ。


でも、男だから日向のそばにいられるんだよなー。



「伊月」



うん、そう考えればいいじゃん。
男でも。



「てめぇ、無視してんじゃねーよ」


「わっ、なに!?」



やば、話聞いてなかった…。

日向クラッチ入ってないよね?


「ちょっと今時間あるか?」



これから部活なんだけど。



「平気だけど。部活はいいの?カントクに怒られない?」


「うぐっ…、ちょっとぐらい平気だろ」


「そう?なら大丈夫だよ」


「ああ、さんきゅ」



日向はそう言うと俺の手を握ってきた。


「っ…」


いきなりすぎて驚いた。

やばい。ドキドキしてきた。



日向はそのままぐんぐんと早足で歩いていく。

俺と手を繋いだまま。


「ちょっ、日向速いって!」


危うく転びそうになった。

日向はそんな俺の言葉も無視して歩き続ける。


一体どこにつれていくのだろう。










「伊月」


「うわっ」



いきなり立ち止まられたおかげで少しコケた。

日向にぶつかっちゃったけど、日向が悪いんだから仕方ない。


「伊月」


「…なに?」



もう一度名前を呼ばれた。

いつもより低いトーンで。

真剣な顔をしながら。



そんな真剣な顔をされたら、こっちも反射的に真剣に答えちゃうじゃん。


…てゆーか、なんだろ?



日向はずっと黙ったままだし、自分から呼んどいて…

ちょっとイラついてきたんだけど…



「日向?どうしたの?」



ちょっと低い声で言ってみた。


「ん、あぁ。…伊月、真剣に聞いてくれるか?」


「う、うん」



…日向?

どうしよ…。


なんかドキドキしてるんだけど。

こんな真剣な日向、久しぶりに見た気がする…。




「伊月」





「好きだ」





…へ?



「恋愛的な意味で、俺は伊月が好きだ。付き合ってくれ」



「う、そ…」



嘘でしょ?

日向が俺を?


俺…男だよ?



「嘘じゃねえよ」



嘘じゃ、ない?


俺も…、日向が好きだ…けど…。


俺は男で日向も男。

絶対に実らないと思ってた。
普通じゃないから。



「伊月。好きだ、付き合ってくれ」


「俺…、男だよ?」



本当に俺なんかで…



「俺は伊月が好きなんだよ。男とかどーでもいい」



ほんとに?

俺なんかでいいの…?


「っ…」


気づいたら、涙がこぼれていた。

生暖かい雫が頬を伝う。



そして俺は、禁断の言葉を言ってしまった。


「俺も…」


「伊月…!」



ずっと、好きだったのに…!

なんで…気づかないんだよっ…!


「っ!」



日向が抱き着いてきた。


「好きだ」



「俺も…」



そうして俺らは禁断の扉を開いてしまった。

男同士の恋愛なんて、周りから見れば気持ち悪いだろう。

でも、俺は日向が好き。


それは変わらないから。



別に男同士だっていいじゃん。





幸せなら、さ。
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