黒バス


□レモンシャーベット
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「ねぇ日向君。伊月君とはもうキスしたの?」



放課後、部活に向かう直前。


教室でカントクに呼び止められたと思ったら、いきなり「キスしたの?」と聞かれた俺。


「はぁっ!?」


驚くことしかできなかった。

いや、仕方なくねーか!?


いきなり呼び止められたから部活のことかとか思ってたら、いきなりの質問。




ホントいきなりすぎだっつーの!




「それで、したの?してないの?・・・ま、さすがに一ヶ月も付き合ってるんだししたわよねー」



・・・ごめんなさい。

確かに伊月とは一ヶ月以上付き合ってます。


が・・・。



「・・・してねぇ」


「え?」


「してねぇーんだよ!ゴメンナサイ!」


「え!?日向君・・・ホントに?」



驚かれてる。

まぁそりゃ俺も健全な高校生男子だしな。


してなくて驚かれるのも無理はねぇ。



「・・・伊月君、可哀想だわ」



ふいに、カントクに呟かれた。



「付き合って一ヶ月もたったのにキスすらされてないなんて・・・」



「・・・わりぃ」



できねぇんだから仕方ねーだろ!
・・・と言おうとしたが、俺の口から出てきた言葉は謝罪の台詞。



「日向君はしたくないの?」


「そりゃ、してーけどさ・・・」



もし、伊月が嫌がったら。

それを想像しちまうと、体が動かなくなる。



「ヘタレね」


「うっせー!」



はいそうですね!スミマセンね!

俺はヘタレですよ!

未だにキスもできないヘタレですよ!



「伊月君、待ってるわよ」


「へ?」



自暴自棄になってる俺に、カントクが声をかけた。

・・・伊月が待ってる?

何を?



俺からのキス、を?




「当たり前じゃない」


「・・・っ、わりぃカントク!部活遅れる!」


「がんばってね〜」




カントクの台詞を聞いたとたん、俺の体は伊月の元へと動き出した。


後ろから「その代わり、メニュー三倍ね」と言う優しい声が聞こえてきたのは、聞いていないことにしたかった。
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