サブウェイマスター

□第4章 助けて
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半ばノボリさんに、
ひきずられる形で家を出た。

いつも持ってるポシェットの中に、
いつものモンスターボールと、
財布と家の鍵が入っているかを、確認。

うん、大丈夫だ。

帽子かぶって、
さっきの満面の笑みの名残さえも消して、
真顔だ。

いつもの逆三角の口。


…いつものノボリさんだ。



「では、なぎさ様、
 お帰りの際はまた、お連絡くださいまし」

「え?
 どうしてです?」

「お迎えにあがります。
 今日、早く出勤するのは、そのためです」


…ああ。
それは感謝すべきことだよね?


「ありがとうございます!
 では、またあとでです!!」


手を振って、私は歩き出した。
ノボリさんの
小さな呟きは、聞こえなかった。


「…私にも、
 敬語はおやめくださいまし…」




――――――――――――




「よし。必要なものと言えば、
 こんなものかな!」


お気に入りの本と、
あとは服とか下着とか、かな。

実際、持っているものは少なかったから、
必要最低限のもの。


「あ、後はこれ…」


箪笥の上に置いていた、
お母さんの写真。


「今日からはにぎやかだよ。
 お母さん」


さて、そろそろ帰ろうか。

まだ明るいから、
ノボリさんに連絡しなくても大丈夫かなぁ。

携帯を取り出して、
昨日のうちに登録していた、
ノボリさんの電話番号を見つめる。


「…いいやっ」


パタンっと閉じて、
携帯をポシェットにしまう。

しばらく、帰ってこないから、
家のブレーカーを落とす。


「じゃあ、しばらくの間、
 さよなら、まいはうすー」


パタンっと扉を閉めて、
ちゃんと鍵を閉める。

私の家は、アパートの一室。

大家さんは優しいから、
一応挨拶はしていく。

「ガスと水道、
 止めて貰って構いません」

って、言ってから、
私はアパートを後にした。
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