▽×▲

□泣いて
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君は雨が降ると、
無意識に涙を流す。

どうしたの?って聞くと、
どうしたんでしょう?と言う。

目の病気かなと思っていると、
君は涙を拭う。

ザーザーと降る雨を横目に、
はたはたと君が落とす雨を僕は拭った。



「擦っちゃだめ」


君の手は少し濡れていて、
目は少し赤くなっていた。

言葉にするのはおこがましいかもしれない。

その姿はすごく綺麗で。
おそろいの銀髪が、君にすごく似合っていて。


「優しいですね」


涙を流す君は、僅かに微笑み、
僕の胸元へ。


「どうしたんでしょうね」


君の背中に腕を回す。


「どうして涙が溢れるんでしょう」


雨、だから?


「…胸が痛いんです」


どうしてだろうね。




君が胸を痛める理由を僕は知ってるよ。
君が涙を流す理由を僕は知ってるよ。

本当は。



「ノボリはさ、優しいんだよ」


優しすぎるんだよ。

最近のバトルサブウェイ。
思いだすだけで、すごく悲惨で。


「そんなことありませんよ」


そんなことあるんだよ。

線路は磨いても磨いても磨いても。
赤に染められて、染められて。


「優しすぎる」


君の心はずたずたになってるんだ。

赤に染められた線路を見るたび。
それを水で流して綺麗ににするたび。


「君はもう思い切り泣いてもいいはずだ」


背中にまわした腕に力を込める。

君はその場から動かない。
この様子を忘れるものかというみたいに。


「ねぇ、ノボリ」


それでも少しの抵抗。
赤を見たくない君は、制帽を深くかぶる。


「泣いてよ」


そんな帽子の中で泣いてないで。


「もう、我慢しなくていんだよ」


そう言うと、
君は僕の腕の中で震えた。

ごめんなさい、と言って、
僕の服に水をしみ込ませた。





END





…コメントできない←

ノボリさんは我慢する人だと思って、
それを解きほぐすのが、クダリさんだと思いました。


では、
読んでくださった方、ありがとうございました!!

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