ミ☆゚*:Novel:*゚☆彡

□泡沫LoVERs〜はじまり〜
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 まだほんの一年前のことだというのに、ひどく懐かしいと感じる思い出に意識を飛ばしていると、どうやら目的地に着いたようだった。
 待ち合わせの際、いつもは必ず先に来ている相手の姿が見当たらず、神田は仕方なしに近くの植え込みの縁に腰掛けると、やにわに携帯電話を取り出し時間を確かめる。
 待ち合わせ時間まではあと五分ほどあり、電話をしてみようかと思ったがやめた。たまには待つのも悪くないと、神田は目の前を行き交う人の群れをぼんやりと目で追った。
 どれくらいそうしていたのか、突然携帯電話の呼び出し音がけたたましく鳴り響き、急いで取り出したディスプレイに表示された名は、待ち人のものだった。
 迷わず通話ボタンを押して耳にあて、聞こえてきた第一声は、

『ごめん!道がすっげー混んでてさすぐそっち行くから、もーちょい待っててさ!』
「…あぁ」

 簡潔に用件だけを告げて切れた電話を眺めつつ、来たら最初に何を言ってやろうかと考えた。
 そう、先ずは不機嫌な顔で遅いと罵ってやろう。するとアイツは困ったような焦ったような顔をして言い訳をするだろうから、それを無視してもっと困らせてみようか。
 それから、赦しの言葉の代わりにキスをしてやろう。勿論それは、人目のない場所へ入ってからになるけれど。

 そして最後に、誓わせよう。






「ずっとずっと、愛してる」








∈END∋

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