○●夢●○

□王子は姫を睨む。
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『ワンナウトー!!!!』







振り絞るような叫び声。

相手を巧みに惑わすリード。





あの試合を見に行って、私はあるキャッチャーに恋をした。
















王子は姫を睨む。
――――――――――――――――――










その存在は、クラスメイトの“阿部 隆也”


(今までなんで気付かなかったんだろ…)






『灯台下暗しとはよく言ったもんだぁ…』


「…お前独り言多い」


『え!!?』




まさか口に出ているとは思わず、いきなり声をかけられて驚く。


しかも…阿部隆也 本人に。






『ど、どこまで聞いてました?!』


は?と怪訝そうな表情をして(カッコイイ!!)


「灯台下暗し…とかなんとか」



(よ、よし…大事なとこは聞かれてない!!)








ざわつく昼休みの教室内。


隣の席に阿部君が座ってるなんて夢みたいだ。
今まではなんとも思ってなかったわけですが。


恋なんて、気付くまでは雑草。
(絶対花開かせてみせるぞっ…!!)





『ま、窓際って眠くなるよねー』


「…それオレに言ってんの?」



普段からチラホラ会話を交わす程度だった私と彼。

でも最近は積極的に話しかけたりしている。
(が、頑張れアタシ…!!)




『阿部君しかいないじゃん!』


「あー、わりぃ。また独り言かと」


『ひ、ひど!!…しかも悪いって思ってる顔じゃないし!!』


頬杖をつきながら、若干こちらへ顔を向けている阿部君。




(その仕草もたまらなくカッコイイんだよなぁ…)






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