小説
□かわいい人
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とても、まずい。
「岳人、その頬どないしたん。」
「え。」
まずいんだ。
「頬。痣できとるやん。」
「あ、いや、何でもな・・・」
「誰に殴られたん?」
「侑士ちが・・・!」
「違うやあらへんやろ。綺麗に岳人の顔に痣作るなんてええ度胸やわあ。」
侑士は俺のこととなると物事の見境がなくなる。
だから昨日隣のクラスのやつに殴られたなんて言ったら終わる。
「ゆぅ、・・・」
「なあ?岳人。痛かったやろ。後で俺がやり返して来るから安心せえ。」
と言って唇の隣にある痣をいやらしくなぞる。
はっきり言って痛い。
「俺の将来の嫁さんやで。傷なんか残ったら壊れてまう。」
「ん、ゆぅ、」
何回もしたプロポーズをまた、念を入れるように俺に言い聞かせて、何度も口づけをする。
こうなったら次の行動なんて考えなくともわかる。
「元気な子産んでや。」
そう言って、侑士は優しく俺を押し倒した。
・・・子供は産めねえけど。
幸せにおわり