小説
□青春を讃える
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中学生という青春時代なんてつまらなかった。
君が現れるまでは。
「真田ー。キスして欲しい。」
「・・・朝から何の冗談だ。丸井。」
「冗談じゃない。俺はいつでも本気だよ。」
背の高い真田の顔を見上げる。
自然と上目遣いになってるはずなのに、あいつはまったく顔色を変えない。
少しはときめけよ。
「なあ、いいだろ?ここなら誰もいないぜ?」
「そういう問題ではない。」
じゃあどういう問題なんだ。
「じゃあもう俺からする。」
「は?」
チュッ
きめ細かくて綺麗な真田の頬に、軽く唇をつけた。
「へへ、満足。」
じゃあまた放課後にと、真田に背を向けた瞬間・・・
「丸井。」
突然名前を呼ばれて立ち止まる。
声が低い――怪しげな空気が背筋をスッとなぞる。
「え、な・・・に?真田。」
少しずつ近づいて来る真田に、自然と後ずさる。
「嘘をつくな。まだ、満足なんてしていないのだろう。」
両腕を掴まれる。
いつもと違う真田にドキドキして、体温が上がっていく。
ああ、もっと――・・・
「お望み通り満足させてやろうではないか。」
もっと俺で楽しんで。
おわり