小説

□甘い、苦い、甘い
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『丸井くんやっほー!新作ポッキーを買ったから今日届けるね!僕は今日部活ないから学校が終わったらすぐに立海に向かうよ!ラケット持ってくから、よかったら僕と試合してね!こないだみたいに先に帰んないように、今日はあらかじめ連絡しといたから!『おいこらジロー!今日は部活だろ!あ、こら逃げんな!』じゃあまた後でねー!』



プツン―――



「・・・。」



「ブ、ブン太・・・」



「ジャッカル俺今日部活休・・・「める訳ないだろう阿呆!!!」



ガツン、と、いつのまにか後ろにいた真田に頭を叩かれた。

目を背けるジャッカルが憎い。















テニスボールの乾いた音がコートで鳴り響く放課後。



「っ、絶好調!」



ターン!と綺麗にきまって、ついガッツポーズをとってしまった。



「今日調子いいな、ブン太。」



「んー。まあな。」



よくよく考えてみたらジロちゃんからポッキーが届くんだぜ。やったじゃん。



「丸井くんかっこEー!」



・・・やった・・・じゃん?













「おい、ジロちゃん。お前結局部活どうしたんだよ。」



「んー。アトベーがはまらないと立海に行かせないって言うからちょっとはまってきた。」



「ふーん。ま、部活はちゃんと出ろよ。」



「うん!丸井くんが言うなら!・・・あ、はいこれ!」



「おーサンキュー!じゃあ俺からはプリッツやるよ。」



「えーいいの!?あーん」



「は?」



「だから、あーん!」



「た、食べさせろと?」



「当たり前じゃん!僕も食べさせてあげるから!」



「いやいやいやいや。俺はいいから。・・・仕方ねえな。ほら、口開けろよ」



「あーん」



ふふっとはにかむジロちゃんはスゲーかわいい。



「じゃあ俺の番だね!はい、あーん!」



「だあーから、いいって!自分で食うよ。」



「えー。」



ポキッと、新作ポッキーを口に含む。めっちゃうまいし。









「・・・まーるーいくん。」



「ん?ってうわ!」



いきなり寄り掛かってきたかと思ったら、そのまま押し倒された。

しかもこいつ意外に力強いし。



「な、なんだよ」



「ふふー。僕からも貰ってよ。ポッキー。」



ゆっくり顔が近づいてくる。これから何されるかなんて、だいたい予想はできるけど・・・



「お前、甘くていい香りがする。」



「丸井くんもだよ。」



媚薬のような甘い香りのせいなんかな・・・



「早く、ちょうだい」



いつのまにかこの空気に飲み込まれてしまった。






「ん、丸井くん、好き」



「・・・うん。」













今度の大会の三回戦の相手は、おそらく氷帝。



"好き"と言ってしまったらこいつを敵として見れなくなりそうで、俺はただうなずく事しかしなかった。






苦い、苦い、僕らの関係





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