星花/short
□真夏のチョコレート
1ページ/1ページ
アイスにスイカ、かき氷にチョコレート。
あぁ、夏の甘いものってなんでこんなに美味しいんだろう!!
『ねっ、幸次郎もそう思うよね!?』
「………イヤ、夏にチョコレートはあまり食べないと思うが…。」
『何言ってるの!?チョコレートは夏に食べるから美味しいんだよ!!』
「そ、そうなのか…?」
とろりと程よく、でもしつこくない丁度よい感じの溶け具合。
この夏限定の美味なチョコレートを知らないなんて…。
なんて可哀想なのだろう。
人生の半分以上損してる。
「何もそこまで言わなくても…。」
『よし!特別に幸次郎も食べていいよ!!』
はい、と私は飴状に包装されたチョコレートを一つ、幸次郎に渡した。
それを貰った幸次郎は、少し考える仕草をした後、ニヤリと笑った。
「………じゃあ、いただきます。」
『んむぅ…!!』
その瞬間、チュッ、というリップ音と唇の感触。
私は思わず、ギュッと目を瞑ってしまった。
やがてその感触がなくなり、そっと目をあけると…
目の前には満足そうな幸次郎の顔があった。
「どうも、ごちそうさまでした。」
真夏のチョコレート
((なかなか旨いな、チョコレート))
((こ、幸次郎の馬鹿…っ))