┗稲妻、ガッシュ

□崩落する時
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『…今日も休みなんですか、アルベール。』

あの日を境に、アルベールは学校へ来なくなった。

今日を含め、もう1週間も学校へ姿を見せていない。

家へも何度も行ってみたが、既にそこはもぬけの殻だった。

あぁ、こんなことになるのなら、"大嫌い"なんて言うんじゃなかった。

アルベールが来なくなったのは、私がつまらない意地を張ってしまったから?

それとも、何もかも面倒になったから?

どちらにしろ、私のせいということに変わりはない。

その事実が私を苦しめる。

「元気ないね、星野さん。」

『…ルイ、君。』

少し前までの私なら、ルイ君に話し掛けられただけで、
世界がピンク色に包まれるような錯覚が起こっていたのに、
今私の目に映る世界は、色なんてつけられない、セピア色だった。

「やっぱり、アルベールのこと?2人も、仲良かったもんね。」

『…うん。』

――――アルベールとは、何時も一緒だった。

どんな時でも、私の傍には、アルベールが居た。

初めて逆上がりが出来て嬉しかった時、

お化け屋敷に入って、怖くて思わず泣いてしまった時、

小学校の入学式、卒業式、中学に入ってからも、今も………。

ごめんね、アルベール。

貴方が私にとって、どれだけ大切な人か、今、分かったよ。

今頃気づくなんて、私って本当に馬鹿だね。

そう、私馬鹿なんだよ。

だから、アルベールが居ないと、どうしていいか、

………分からないよ。

……………アル、ベール。

「ご、ごめん星野さん、泣かせるつもりはなくて…!!」

『――――――え?』

慌てて目尻を拭う。

どうやら、無意識に泣いていたようだ。

「…アルベールが、羨ましいよ。
星野さんに、そこまで思ってもらえるなんて。」

『…どういう、意味?』



――――――――あぁ、神様。



「…だって、俺、星野さんの事が好きだから。」



どうして、私に意地悪なんですか。


崩落する



((夢にまで見た現実と))

((望んで無かった今と))
       

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