┗稲妻、ガッシュ
□不安多量
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「ねぇ美空、ここ教えてくれない?」
『あぁ、そこはa秒を利用して…。』
朝はあんなこと(思い出すと恥ずかしいので何が、とは言わないが)があったが、
現在、4時間目までは特に問題なし。
…と、言いたい所だが。
さっき(4時間目が始まったあたり)から、妙に視線を感じるのだ。
何かと思い振り向くと、そこには悩みの種、南雲君の姿が。
おかげで私はさっきから、嫌な予感が止まらない。
「で、美空、この後は?」
『え、あぁ、だから26は2×2×6だから、それを計算すれば出来るよ。』
「流石美空!!」
『そ、そんなこと無いよ。私社会弱いし…。』
この前の小テストなんて…あぁ、考えたくも無い。
「へぇー、アンタ、数学出来るんだ。」
『――――――はい?』
あれ、友達よ、急に声変わりか?
え、実は男的な?
何か今、ちょっと低めの声が聞こえたような…。
私は恐る恐る声のする方を見る。
……………うん、知ってた、君だってこと。
でもなんというか…あまり受け入れたくないと言いますか…。
――――南雲君だった。
「なぁ、俺もそこんとこよく分かんなかったから教えてくれねぇ?」
『…え、っと……す、涼野くんとかの方が良いんじゃない?』
涼野君なら私以上に頭良いし。
「はぁ?あのな、俺はアンタがいいんだよ。」
南雲君がそう言った途端に、女子からキャーキャーあがる黄色い声。
…とてもこの場に居ずらいのですが。
というか、南雲君の人気を改めて実感した気がする…うん。
『っと…後で、ね…。』
今の私には、これを言うのが精一杯だった。
とりあえず、これで女子…いや、クラス中の視線を浴びる必要は無くなった。
私はほっ、と一安心。
が、後で、ということは結局南雲君に勉強を教えなくてはいけないのだ。
…全く安心出来なくなった。
「んじゃまた休み時間にな、美空。」
不安多量
((あれ、そういえば))
((はじめて名前呼ばれた気がする…))