紅の花舞
□二、 雨のあとには
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総司お兄ちゃんは嘲るような瞳で私をみて笑った。
「まともに素振りもできないなんて、道場に立つ資格もないよ。」
次から次へと私に向けて批判の言葉が飛んでくる。
なんで?どうしてそんなこと言うの?
「だいたいさ、勘違いしないで欲しいんだよね。近藤さんはたまたま出稽古の帰りに倒れていたきみを見つけて、仕方なく連れてきただけで、別に家族になろうとか思ってる訳じゃないから。」
「……っ…」
思わず涙が溢れてくる。
「ほら、そうやって女の子だからってすぐに泣くんだ。僕はきみなんて絶対に認めな―」
続きの言葉を紡ごうとした総司お兄ちゃんが目を見開く。
それもそのはず。
唇を噛み締めて涙をこらえて彼を睨んだ私の顔は、きっとひどいことになっていただろうから。
悔しい。
悔しい。悔しい。
皺ができるくらいに着物を両手でぎゅっと握りしめる。
「総司お兄ちゃんの馬鹿!!」
そう叫んで私はそのまま道場を飛び出した。