紅の花舞
□六、 空色の笑顔
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門まで来た私は、そっと外の様子を伺った。
でも、さっきの声の主らしき人物は見当たらなかった。
「ただの酔っぱらいかな?」
そう呟いて踵を返そうとした瞬間、
「ひゃああああ!血…血を寄越せぇぇぇ!」
「!!」
(さっきの声…!)
振り向いた私の視界に飛び込んできたのは、
血の海に横たわる躯。
そしてそれを貪る白髪の生き物。
この世のものとは思えない光景が、そこに広がっていたのだ。
「…っ…!」
逃げなきゃ。
頭ではわかっているのに、私の両足は地面に根が張った様に動いてくれない。
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