紅の花舞
□七、 零れ落ちる雫を拭って
3ページ/10ページ
「ぎゃああああああ!!」
「!!」
(今の…奏樹ちゃんの部屋から!?)
彼女の部屋に一番近いのは僕だ。
僕は刀を持って走り出す。
(最悪の事態になってなければいいけど…!)
辿り着いた彼女の部屋の障子は開け放たれていた。
僕の目に飛び込んできたのは、
鮮血の海に横たわる白髪の死体。
そして、
血に濡れた刀を持って佇む奏樹ちゃんの姿だった。
一瞬言葉が出なかったのは、
その瞳と同じ紅を浴びた横顔が
月明かりに照らされて美しいと思ってしまったから。
.