紅の花舞
□九、 動き出す、時
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二人に案内された部屋に入ると、幹部の人が集まっていた。
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
沖田さんが私に声をかける。
「…みたいだね。顔に畳のあとがついてる。」
「え!?」
その言葉に、慌てて頬を抑えた。
「心配するな。畳のあとなどついちゃいない。」
「総兄、からかわないの!」
斎藤さんと葉城さんが沖田さんに言うけど、本人は楽しげな笑みを絶やさない。
「ひどいなぁ。二人共、ばらさなくてもいいのに。」
(私、からかわれてたんだ…。)
「おまえら、無駄口ばっか叩いてんじゃねぇ!」
土方さんの一喝で、辺りは元通り静かになった。
「まぁ、とりあえず座ってくれ。俺は新選組局長の近藤勇だ。そこのトシが副長を務めていて…」
「いや、何でいろいろ教えてやってんだよあんた。」
土方さんに言われて戸惑う近藤さんは、とても優しそうに見えた。
「ちっちゃいし細っこいなぁ…。まだガキじゃんそいつ。」
「お前がガキとか言うなよ平助!」
「そうだな。世間から見ればお前も似たようなもんだれ。」
確かあの人達が藤堂さん、永倉さん、原田さんかな?
ここに来る途中で、葉城さんが教えてくれたんだ。