紅の花舞

□十、 闇と光と
2ページ/8ページ





私が声にならない悲鳴を上げた時、障子の影から斎藤さんと葉城さんが現れた。




「…もういいだろうか?
夕飯の支度ができたんだが。」


「総兄、おつかれー♪」




私と沖田さんの話が長引きそうだったから、途中で割り込んでくれたらしい。




「あの、もしかしてお二人もずっとそこにいました…?」

私が聞くと、こくりとうなずく二人。



(は、恥ずかしい…!)



顔から火が出そうになり、頬を両手で押さえた。




その時。





ぱたぱたと駆け込んできた藤堂さんは、私達を見ると頬を膨れさせた。




「あのさ、飯の時間なんだけどー」



「ごめんごめん平助。今行くー」



「はいはい、千鶴も急げって。早くしねぇと食うもの無くなっちまうからね。」



「ごめんなさい、藤堂さん。すぐに行きます。」



行きかけた藤堂さんが立ち止まって、困ったような顔で口を開いた。





.

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ