紅の花舞
□十、 闇と光と
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私が声にならない悲鳴を上げた時、障子の影から斎藤さんと葉城さんが現れた。
「…もういいだろうか?
夕飯の支度ができたんだが。」
「総兄、おつかれー♪」
私と沖田さんの話が長引きそうだったから、途中で割り込んでくれたらしい。
「あの、もしかしてお二人もずっとそこにいました…?」
私が聞くと、こくりとうなずく二人。
(は、恥ずかしい…!)
顔から火が出そうになり、頬を両手で押さえた。
その時。
ぱたぱたと駆け込んできた藤堂さんは、私達を見ると頬を膨れさせた。
「あのさ、飯の時間なんだけどー」
「ごめんごめん平助。今行くー」
「はいはい、千鶴も急げって。早くしねぇと食うもの無くなっちまうからね。」
「ごめんなさい、藤堂さん。すぐに行きます。」
行きかけた藤堂さんが立ち止まって、困ったような顔で口を開いた。
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