紅の花舞
□十五、知らないままでいい
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「ですが、私の腕は…」
山南さんは、ますます暗い顔をした。
いくら剣客として求められても、今の山南さんには応える術がない。
だって…山南さんの腕は、きっと治らないから。
土方さんは山南さんを守ろうとするあまり、彼を追い詰めるような発言をしてしまったのだ。
「あら、私としたことが失礼致しました。
その腕が治るのであれば何よりですわ」
伊東さんは目を瞬いた後、にっこりと微笑んで謝罪した。
ああ、もうこんな奴斬り捨ててやりたい。
でもそんな事をしたら、近藤さんに迷惑がかかるのは目に見えていたから、僕は何も出来なかった。