紅の花舞

□十五、知らないままでいい
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「あはは、冗談ですよ。
ちょっと言ってみただけです」


奏樹ちゃんがそう言うと、伊東さんは僅かばかり安堵の表情を見せた。





「…でも、油断は大敵ですね」


「……っ」



最後の一言が、伊東さんの余裕を完全に消し去った。


奏樹ちゃんは綺麗に微笑んでいる。


でも、その笑顔がこれほど怖いと思ったのは初めてだった。




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