紅の花舞

□十六、狂気の欠片
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「!?」



凄まじい勢いで、彼の右腕が私の胴を薙いだ。



私を壁際まで弾き飛ばす一閃。



背中から壁にぶつかって、肺の空気が押し出される。


「っ、はっ…」



たまたま腰の空舞桜に当たらなければ、私はきっと無事ではなかっただろう。


咳き込んだ私が視線を上げると、すでに山南さんの右腕が、私の喉元を握りつぶそうと迫っていた。



「…く……くく…」


「……かは…っ!」



(息が、できない…!)





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